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記憶と忘却と口承 Memory And Forgetting,  And Oral Instruction ​

2017

video 7'28" / text 

見出し h1

私は、2016年度より京都府アーティスト・イン・レジデンス事業 大京都 2017 in 舞鶴において、都府舞鶴市に位置する” 引き揚げ記念館” の方々の協力を得てリサーチと作品 制作を行っている。

本作は、シベリア抑留を体験した二人の男性にインタビューをし、彼らの記憶を元に作者の私がシベリア抑留体験記を口承している映像作品である。

 

” 引き揚げ記念館” は、舞鶴港が戦後に引き揚げ港として機能していた歴史や、引き揚げやシベリア抑留を後世に継承するための役割を担っており、館内には寄贈された引き揚げ 者の持ち物や書簡、日記などの収蔵品が並んでいる。

 

しかし、私は記念館を訪れ、引き揚げ記念館の所蔵物を見ていると、偏重した歴史を眺めているような感覚に陥った。 シベリア抑留の体験者たちは、どの収容所でも同じような条件で生活・労働をさせていた為、体験談や証言には共通点が多く、「強制労働・極寒・慢性飢餓・人間不信の四重苦」と いうようなキーワードでまとめられ、一つの物語化がされているように感じる。 

しかし、実際にシベリア抑留を体験した二人の男性にインタビューをしたところ、一人の男性が「抑留体験は楽しかった。わしはロシアに戻りたい。」とお話された時、私の中でシ ベリア抑留のイメージがガラっと変わった。 

私は、史実を後世に残す際、膨大な記憶や資料を偏り無く口承していけば良いかという問題が我々の前に立ちはだかっているような気がした。また、それと同時に編集とフィルタ リングされてしまうオーラル・ヒストリーを史実としてどのように残していくかを考えるようになった。 私は、その手がかりとして、隊の上官・下僚の立場で抑留され、全く正反対のシベリア抑留を体験した二人の男性にインタビューをし、彼らの記憶を元に作者の私がシベリア抑留 体験記を語る事で史実がどのように伝わるかを考察した。このプロジェクトは、2020 年まで続く予定であり、本作はそのプロジェクトの初年度のリサーチ結果である。

This is the story of the prisoners of war.

I met two men of the Siberian detainee in Kyoto.

He says the detention life was very severe.

In the detention life, a lot of his friends died. So he disliked the Soviet troops very much.

He still dislikes the Soviet Union and Russia.

But the other man was enjoying the captive life very much. He misses his captive life. He still has a good impression on Russia.

I was surprised by this difference.

Therefore, I interviewed the two of them.

And I thought about the difference.

I consider the spirituality of the war era and the historical problems that Japan has.

And I'm thinking about how to hand down this history.

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